音楽

東京事変の「東京コレクション」を聴きながらこの記事を書いている.今「キラーチューン」が終わるところだ.ライブ音源ゆえの臨場感が素晴らしいので気に入っている.キラーチューンのクライマックスは疾走感に溢れているが,掛け替えの無い相手に出会った喜びを表現しているのだろう.このアルバムには「かつては男と女」という曲も入っている.好きな曲の一つである.最後のキーボードソロがとても美しい.そして,さほど恋愛経験はないけれども,この曲の物語が好きだ.過去の交際相手にばったり会うと,この歌のような物語があったりするのだろうか.

最近は歌詞の物語に注目して聴いて気にいる曲が多い.例えば,松原みきの「あいつのブラウンシューズ」がそうだ.曲想と歌詞がマッチしているのはもちろんのことだが,出て行った元交際相手の靴の呼び方が変化するのがとても良い.“あいつ“のブラウンシューズが,靴を磨きながら過去の思い出を巡るうちに,“わたしとあなた“のブラウンシューズに変化する.歌詞からはいい加減な交際相手だったことが読み取れるが,どこか憎めないところのある人間だったのだろう.それゆえ,“あいつ“が“あなた“に変化して,“わたし“が加わっているのかもしれない.そもそも,嫌いな人間であれば,置いて行った靴なぞすぐ捨ててしまうに違いない.こうやって歌詞から想像を膨らませるのは楽しいものである.